コールドプロセス石けんを選ぶ理由 Vol.2

前回の「コールドプロセス石けんを選ぶ理由 - Vol.1」では、その歴史や製法、長く受け継がれてきた文化をひも解いてご紹介しました。公開後には、内容に共感したという声や、製法や使い心地についての質問も寄せられています。
Vol.2では、そうした関心の高まりを受けて、コールドプロセス石けんが現代の暮らしの中でどのように役立つのか、実用性や環境・倫理的な価値に焦点を当ててご紹介していきたいと思います。
環境に優しい自然派石けん
コールドプロセス石けんは、肌へのやさしさだけでなく、環境への配慮という点でも大きな価値を持つ自然派スキンケアです。植物オイルとアルカリのみでつくられるシンプルな処方は100%生分解性を実現し、使用後に自然へ戻る過程で有害物質を残さないのが特長です。これは、川や海などの水質汚染のリスクを軽減し、土壌をはじめとした自然環境への負荷を最小限に抑える、非常にクリーンな洗浄アイテムと言えます。

さらに、コールドプロセス石けんを手がける多くのブランドは、過剰な包装を避け、リサイクル紙や堆肥化可能な素材など、環境負荷の少ないパッケージを採用しています。もちろん、すべてがエコロジカルでミニマルな包装というわけではありませんが、自然派ブランドの多くが「できるだけゴミを増やさない」という姿勢を大切にしている点は共通しています。こうした取り組みは、パッケージ選びそのものが環境配慮の一部であるという価値観を反映しています。
製造方法そのものも環境にやさしいポイントです。低温で反応を進めるコールドプロセスは、必要以上のエネルギーを使わず、サステナブルな手工芸製法としてヨーロッパ全域で高く評価されています。化学的工程を多用する工業製法とは異なり、自然な反応を活かすことでエネルギー消費も抑えられます。石けんは濃縮された固形製品であるため、輸送時のCO2排出量削減にもつながり、全体の環境負荷が低減されるのです。
また、コールドプロセス石けんの処方は「クリーンビューティー」の考え方と親和性が高く、以下の点で自然環境と肌の両方に配慮した仕上がりになっています:
- 不必要に強すぎる洗浄剤を使わない
- 石油由来成分や環境に残留しやすい化学物質を避ける
- バイオベースの原料を中心としたやさしい設計
そして何より、固形石けんを選ぶことは、プラスチック容器の削減 につながります。ジェルタイプのボディソープや洗顔料に欠かせないプラスチックボトルを必要としないため、日々の選択がそのまま廃棄物削減に結びつきます。旅行やアウトドアでも環境負荷が小さく、湖や山での使用が求められる「生分解性石けん」としての役割も果たします。

このように、環境に配慮した自然派コールドプロセス石けんは、肌へのやさしさだけでなく、地球環境を守るための意識的な選択として現代のエコライフスタイルに最も適した製品と言えるでしょう。
節約につながる多機能性
コールドプロセス石けんは、ひとつでいくつもの役割をこなすマルチタスクな存在です。ボディソープとしてはもちろん、シャンプーや洗顔、メイク落とし、さらには軽い保湿ケアまで、幅広い用途に使うことができます。
これは、低温でゆっくりと熟成させる製法により、植物油脂に含まれる不飽和脂肪酸、フィトステロール、ビタミン類、そして自然に生成されるグリセリンが高い割合で残存するため。つまり、植物オイル本来のうるおい成分や天然のグリセリンがそのまま残るのです。これは、肌を守る皮脂を奪いすぎず、必要なうるおいを補いながら洗えるからこそ実現する多機能性です。
また、コールドプロセス石けんは一般的な液体ソープより溶け崩れにくく、少量でもしっかり泡立つため、見た目以上に長持ちします。
価格は一般的な合成石けんより少し高めですが、成分の良さと耐久性から使用期間が長く、結果的にコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。また固形のため、使い切りやすく無駄が少ない点も経済的です。

さらに、化粧落としとしても優しく洗浄し、保湿成分が肌の潤いをしっかりと保つことから、季節や気候によっては追加の保湿クリームを減らせる場合もあります。これにより、ヨーロッパではトータルのスキンケアコストも節約できる、多機能かつエコなアイテムとして人気を集めています。
日々のケアをシンプルにしながら、お財布にも地球にもやさしい。それが、コールドプロセス石けんが選ばれ続ける理由の一つでもあります。
肌に優しく、すべての肌タイプに対応
コールドプロセス製法でつくられた石けんが「肌にやさしい」と言われる理由は、単に "ナチュラル" だからではありません。科学的にも裏付けられた特徴が、敏感肌から乾燥肌、脂性肌まで、多様な肌タイプに寄り添うケアを可能にしています。因みに、Online Shop – Naturalisでは、肌のタイプを7種類に分類して、お客様に適した石けんをご案内しています(詳しくはこちら)。
まず、コールドプロセス石けんの大きな特長は、製造過程で天然の植物性グリセリンが豊富に残ること。グリセリンは優れた保湿成分で、角質層に水分を引き寄せて保持する“ヒューメクタント効果”を持ち、洗い上がりのつっぱり感を防いでくれます。人工的な「しっとりした気がする」感触を与えるシリコンを含んだ合成石けんやボディソープは論外ですが、よく見る大量生産石けんやボディソープに比べてコールドプロセス製法で作られた石けんは肌の水分保持力をサポートする働きが高いのが特徴です。

さらに、良質な植物油脂をあえて未反応のまま残す「スーパーファット(超過脂肪)」により、洗浄後の肌に油分の保護ヴェールを与えることができます。これにより乾燥肌・敏感肌でも使いやすく、肌が本来持つ皮脂膜(保護膜)を守りながら汚れを落とす、やさしい洗浄が叶います。
pHは一般的に弱アルカリ性ですが、植物油脂由来の脂肪酸組成と自然由来の界面活性作用により、刺激が比較的おだやかで、皮膚の保護バリアへの負担が少ないとされています。また、合成界面活性剤、シリコン、強い防腐剤を使用しないレシピが多く、成分に敏感な方にも心置きなく選べるのが特徴です。

素材の選択肢が広いことも、コールドプロセスならではの魅力です。オリーブオイル、シアバター、ココナッツオイルなどの植物油、クレイや植物パウダー、そしてエッセンシャルオイルなど、天然素材を活かした組み合せが可能なため、肌の状態や好みの香りに合わせて多彩なバリエーションが生まれます。
自然由来の成分を活かした処方により、肌の表面にある皮脂膜(保護膜)をしっかりと維持し、乾燥や外的刺激から肌を守ります。結果として、すべての肌タイプに優しく、日々の洗浄とケアをサポートする石けんとして、ヨーロッパでは多くの消費者の方々に選ばれています。
倫理的で動物実験・動物性脂肪不使用
コールドプロセス石けんは、動物への配慮を重視したエシカルな製品づくりを基本としています。多くのフランスのコールドプロセス石けんブランドがそうであるように、私たちLMdSも動物実験を行わず、必要な場合には第三者機関での信頼性試験を通して、人にも環境にも負担の少ない製品を追求しています。これは、動物福祉に配慮し、倫理的な製品づくりを推進する上で非常に重要なポイントとなります。
また、処方には動物性脂肪を一切使用していません。伝統的な石けん製造ではBeef tallow (ビーフタロー:牛脂)などが使われることがありますが、コールドプロセス製法では植物由来のオイルやバターを用いることで、より自然でサステナブルな製品づくりが可能になり、倫理的に心置きなく使える石けんを提供することができます。
特に、フランスの自然派ブランドが大切にする “Clean Beauty” の価値観に沿って、植物油・植物バター・植物由来香料を中心に構成し、ビーガン処方を採用することが一般的です。こうした石けんは、動物由来成分を避けたい消費者にも適しており、環境にも配慮したサステナブルな選択肢となっています。

こうしたアプローチは、単に「動物性原料を使わない」というだけではなく、次のような広い倫理観にもつながっています。
- 動物由来原料への依存を減らし、生態系への負荷を軽減すること
- 原材料のトレーサビリティを確保し、持続可能な農法を支援すること
- クルエルティフリー(Cruelty-free)やビーガン(Vegan)を望む消費者が、信頼して選べる選択肢を提供すること
倫理的な姿勢を大切にするブランドが手がけるコールドプロセス石けんは、こうした価値観とクラフトマンシップが融合して生まれています。コールドプロセス製法により成分の自然な特性が保たれ、肌にやさしいだけでなく、動物にも地球にも優しい製品として、多くのブランドやユーザーから支持を得ています。

毎日の洗浄という身近な行為を通じて、自分自身にも、環境にも、動物にも優しい選択ができる——それがコールドプロセス石けんを選ぶ大きな理由のひとつです。
使いやすさと優しい香り
コールドプロセス石けんの魅力のひとつは、思わず深呼吸したくなるような自然で穏やかな香りにあります。多くのブランドがエッセンシャルオイルを丁寧に調合し、人工的に作られた強い香りではなく、植物本来のやわらかい香り立ちを大切にしています。
多くのユーザーが、これらのやさしい香りを通して、使うたびに心が落ち着き、まるで自然の中に包まれているような安らぎを感じています。バスタイムにふわりと広がるアロマは、気持ちを穏やかに整え、毎日の入浴を小さなリラクゼーションの時間へと育んでくれます。

また、香りだけでなく保湿にも深くこだわっているのがコールドプロセス石けんの魅力の一つです。説明しましたように、時間をかけて生成された豊かな天然のグリセリンが肌に潤いを与え洗い上がりはしっとりと柔らかく、肌の乾燥やつっぱり感を回避します。優しい使い心地は敏感肌の方やお子様にも使っていただけるため、家族みんなで日常的に使用できる多機能さも兼ね備えています。
このように、コールドプロセス石けんは「使いやすさ」と「香りのやさしさ」、そして「肌への潤い」を一体化させることで、心身ともに豊かなケア体験を提供してくれます。自然由来の成分がもたらすやわらかな香りとしっとりとした洗い上がりが、多くの方の日々のスキンケアに欠かせない存在となっているのです。

こうした香りの心地よさと、毎日使いやすい肌へのやさしさが揃っているからこそ、コールドプロセス石けんは「癒し」と「実用性」の両方を求める人に選ばれています。日常のどんな瞬間にも寄り添い、そっと気分を整えてくれる――そんな存在です。
日常に寄り添う一つの選択肢として
コールドプロセス石けんは、単なる「洗浄のためのアイテム」を超え、自然の恵みと職人たちの知恵が息づく、小さなクラフトの結晶です。
熱を加えない製法だからこそ残る自然素材の力、肌に寄り添うやさしさ、そして香りに包まれる豊かなひととき。これらはすべて、効率重視の大量生産ではけっして得られない、手づくり石けんならではの魅力です。
LMdS – La Manufacture du Siècleは、こうした伝統的なクラフトマンシップと現代のサステナブルな価値観の両方を尊重しながら、「毎日使うものだからこそ、本当に良いものを」という想いで石けんをお届けしています。
皆さまの暮らしの中で、この小さな石けんが心と肌を整えるささやかな習慣となり、自分と自然を大切にする時間へとつながっていきますように。


